いよいよ明日、サンフレッチェ広島がJ1リーグ開幕戦(対ベガルタ仙台/エディオンスタジアム広島)を迎える。得点力向上に取り組む今シーズンを目前に控え、2018年の4バック時代を振り返る。

仙台に敗れリーグ優勝を逃した城福サンフレッチェ。

◆ロケットスタートからの大失速

 ヤン・ヨンソン監督のもとシーズン途中から『4-2-3-1』のフォーメンションに取り組んだサンフレッチェが、新体制となった2018年もそのまま4バックを採用した。15位に沈んだチームの再建を託された城福浩新監督は、“ムービング・フットボール”という理念のもと「選手が楽しめるサッカー」を標榜。2017年12月に行われた就任会見では、自らが目指すサッカーについて次のようなコメントを残している。

「人とボールが動くサッカーをして、人の心を動かす。それこそが勝利に近づき、選手たちが躍動するサッカーだという信念を持っています。私はこれまでどんなチームでもどんな立ち位置でも、それをやり続けてきました」

 就任発表からリーグ戦開幕まで約2カ月しかなかったものの、城福サンフレッチェは開幕から第9節までを8勝1分で乗り切るというロケットスタートを見せた。下馬評はそれほど高くなかったものの、パトリックを活かした戦術がズバリとハマり鹿島、川崎などの強豪を退けていった。

 ロシアW杯によるリーグ中断後も好調をキープし続けたが、相手チームの研究によりパトリックが抑え込まれると一気に雲行きが怪しくなっていった。エースストライカーを封じられたサンフレッチェは、9月15日の第26節(鳥栖戦)から完全に失速。最終節までの9試合は白星に見放され(2分7敗)、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権は確保したものの2位という結果に終わってしまった。

 序盤の快進撃もあり、広島の街は現実味を帯びた『カープとサンフレッチェのダブル優勝』の実現に沸き立っていた。ところが広島2大スポーツ同時優勝の夢は、サンフレッチェの大失速により来季以降に持ち越しになった。手応えがあっただけに、より一層悔しさが募るシーズンとなった。

 城福監督は2018年シーズンの反省を活かし、2019年からはサンフレ全盛期を支えた『3-4-2-1』にシステムチェンジ。決定力不足には悩まされたものの、リーグ屈指の堅守をベースに上位を脅かす戦いをピッチ上で体現していった。