2001年ドラフト4巡目でカープに入団し、捕手として活躍した石原慶幸氏。25年ぶりの優勝、球団初のリーグ3連覇。記憶に新しい節目の瞬間には、正捕手・石原慶幸の姿があった。カープ一筋19年のプロ野球人生。悔しさも歓喜も知り尽くした名捕手の野球人生を、石原氏の言葉で振り返っていく。

19年間にわたり、捕手としてカープを支えた石原慶幸氏。

 昨シーズン限りで現役を引退し、2021年からプロ野球解説者として活動する石原慶幸です。今年2月には、カープが一軍春季キャンプを行っている沖縄へ行き、19年間お世話になったカープを、初めて外から見させていただきました。コロナ禍の影響で無観客での開催となるなど、これまで経験したことがない雰囲気でのキャンプではありますが、選手たちは、ペナントレース開幕に向けて鍛錬を重ねています。

 今年も『プロ野球のある日常』を過ごせることを願いながら、本連載をスタートさせていただきたいと思います。僕の野球人生に、しばらくお付き合いいただければ幸いです。

◆兄の影響で始めた野球

 初回ということで、まずは野球との出合いからお話ししようと思います。僕が野球を始めたのは小学校低学年の頃です。3人兄弟の末っ子ですが、4歳違いの真ん中の兄貴が、地元(岐阜県大垣市)の墨俣(すのまた)野球少年団に入っており、その練習に連れて行ってもらうようになったのがきっかけです。そして、小学4年の時に、僕もその少年団に入部することができました。強豪チームを想像されるかもしれませんが、部員は少数の小さな野球チーム。同学年の女の子が一番うまかった思い出があります(笑)。

 入部したての頃はサードを守っていましたが、兄がキャッチャーをしていたこともあり、自然な流れでキャッチャーを任されるようになりました。いま振り返ると、僕のキャッチャー人生は小学4年から始まったことになります。この時から、カープで現役を引退するまで、ポジションはずっとキャッチャーです。小学生、中学生の頃は、とにかく野球が楽しかったですね。まさにエンジョイ・ベースボールです(笑)。高校以降とは、野球への取り組み方が全然違っていたと思います。勝ち負けは二の次で、野球がやれるというワクワクでいっぱいで、毎日楽しく練習していた記憶があります。