河田雄祐ヘッドコーチが今季の鍵を握る存在として挙げているのが、田中広輔、菊池涼介の同学年コンビだ。リーグ3連覇当時は不動の1、2番としてチームを牽引。ここでは選手会長・田中のキャリアに触れつつ、平成黄金期のカープの打撃成績を振り返る。

今季は再び1番ショートとして試合出場を続けている田中広輔選手。

 2016年シーズンの特徴がチーム打撃成績の急上昇だ。25年ぶりのリーグ優勝を成し遂げたカープ自慢の1番~3番トリオ“タナキクマル”で形成する上位打線はチャンスメーク、得点の両面で機能した。中でも1番に座った田中の出塁率と得点の高さが、前年比178点もの得点数増加を引き寄せた。

 「特に四球はシーズン中も意識していました。1番打者としての役割という目線では9月10日の優勝を決めた試合。安打は打てませんでしたが四球が3つ、死球が1つと全打席出塁して2得点したことが印象に残っています」(『広島アスリートマガジン』2016年11月号)

 走塁面でも河田雄佑コーチと突き詰めて練習に取り組むことで、盗塁数が飛躍的にアップ。走攻守全ての面でレベルアップし、同学年のライバルと肩を並べるまでの選手へと成長した。

 高い出塁率を誇る田中が1番に座り、つなぎ役ながら2番の菊池が最多安打のタイトルを獲得。球団初の打撃コーチ3人体制(石井琢朗、東出輝裕、迎祐一郎)の効果も絶大で、チームとしても打率、得点、安打、本塁打、盗塁、出塁率などでリーグトップの数字を弾き出した。