今季のカープは、ここまで打低投高の傾向がある。チーム打率は4月20日現在で3位(.244)ながら、得点は5位(56)とつながりを欠いている状態だ。はたして過去に打撃が活発だったシーズンは、チーム全体としてどのような成績を残していたのか? 記録と記憶に残る主要な“カープ歴代強力打線”をピックアップし、チーム成績とチーム打率の相関性を紐解いていく。

第1号が生まれてからはコンスタントに本塁打を放っている鈴木誠也選手。

◆【1978年・脅威の200発打線】
チーム成績3位/チーム打率1位
<打率.284/130試合/1244安打/205本塁打/692点/盗塁54>

 1978年はカープ球団史上最多のチーム本塁打数を記録した。来日2年目のギャレットは、開幕4試合連続アーチの新記録を樹立するなど序盤から一発を量産。王貞治(巨人)、大杉勝男(ヤクルト)、長嶋茂雄(巨人)が持つ月間タイ記録と並ぶ、月間14本塁打も達成した。8月には山本浩二が月間MVPを獲得。9月28日には水谷実雄が2本塁打を放ち、シーズンチーム最多本塁打195の日本新記録を打ち立てた。

 結果、山本は44本で球団初の本塁打王に。水谷も首位打者に輝いた。山本、ジム・ライトル、衣笠祥雄が30本塁打以上を記録するなど軒並み高い打撃成績を残し、チーム本塁打205本はいまだに球団史上最多だ。チームは3位に終わったものの、翌年からの2年連続日本一を支えるメンバーたちが輝きを放ち始めたシーズンとなった。

◆【1996年・3割バッター5人を生んだ“ビッグレッドマシン”】
チーム成績3位/チーム打率1位
<打率.281/130試合/1264安打/162本塁打/642点/盗塁115>

 三村敏之監督3年目のシーズンは開幕直後こそ苦戦したが、5月、6月をハイペースで乗り切り巨人の最大11.5ゲーム差をつけていた。打線は野村謙二郎、前田智徳、緒方孝市、江藤智、金本知憲ら生え抜き選手を軸に、この年からルイス・ロペスも加入。“ビッグレッドマシン”と呼ばれる超強力打線を形成した。投手陣も紀藤真琴や山内泰幸、抑えの佐々岡真司らが盤石の投球を見せ、優勝はほぼ間違いないものと思われていた。

 しかし7月9日の巨人戦での敗戦を機に、風向きが一気に逆転。“メークドラマ”と呼ばれる巨人の猛追を許し、カープは首位の座を陥落。まさかの3位でシーズンを終えた。しかしチーム打率.281は1978年に次ぐ球団史上2位。規定打席到達打者の内、3割打者は5人と、平成カープの中でも最強打線との呼び声も高い。