◆誰に対してもリスペクトを欠かさないのが“石原流”

 今回の書籍は、石原さんがいくつかのターニングポイントを経て、自身のコミュニケーション術が向上していく様を一番の軸として構成されている。

【勇気を持って伝えれば、どんな些細なことでも聞いてくれる。そのことに気づいて実行できれば、誰の人生であっても変えていけると、僕は信じている。】

 この考え方に基づき、分岐点となるようなエピソードを見極めるため、石原さんご自身の野球人生を改めて思い起こしてもらう必要があったが、その中でひとつ一貫していたところがあった。それは、登場する関係者に対する配慮を欠かさなかったという点だ。

 親兄弟はもとより、同級生、指導者、先輩、後輩。誰であっても、基本はリスペクトする。それが“石原流”だった。

 石原さんは、野球の名門・県立岐阜商業高校に入学後、東北福祉大学、そして広島東洋カープと、厳しい練習や激しい競争を強いられる環境にずっと身を置いてきた。

 野球人生の中で、時には理不尽な思いをした日もあっただろう。だが、石原さんは当時のことはあくまで当時のこととし、むしろ、「今思えば、後々の自分にとって糧になった」と受け止めていた。