日本初の女子プロサッカーリーグ『Yogibo WEリーグ』が9月12日(日)に歴史的な開幕を迎える。サンフレッチェ広島レジーナは『共感』というチームスローガンを掲げ、初のシーズンを戦っていく。

 レジーナの初代主将に就任したのは近賀ゆかり。近賀は、2004年から2016年、女子日本代表「なでしこジャパン」でプレーし100試合に出場。2011年にはW杯優勝、2012年のロンドン五輪では銀メダルを獲得するなど、数々の実績を持つ。女子サッカー界を牽引するレジェンドに、女子サッカーへの熱き思いを語ってもらった。

サンフレッチェ広島レジーナの初代主将に就任した近賀ゆかり選手。

◆「自分の全てをここで出し切る」百戦錬磨のプレーヤーの決意

─これまで日本代表として五輪に2度、W杯に3度出場。アーセナル・レディースをはじめ、海外リーグでの実績も豊富な近賀選手が、広島でプレーすることを決めた理由を教えてください。

「日本で初めて女子サッカーのプロリーグが始まると聞いた時、うれしかったですし、挑戦する機会があれば、チャレンジしたいという思いがありました。その中で、レジーナから声をかけてもらい、クラブの考え方や女子サッカーに対する思いを伝えていただくなかで、『自分の全てをここで出し切りたい』という思いが芽生え、心を決めました。ゼロからクラブがスタートする、その第一歩に携わることができて光栄です」

ーゼロからのスタートということで、不安などはなかったのでしょうか?

「もちろん環境も含めて何も分からない状態だったのですが、それでも広島に来たいと思えたのは、クラブの方の言葉が大きいです。いただいた言葉で決断できましたし、心が決まりました」

─これまで海外を含め、7つのクラブでプレーされ、レジーナは8チーム目。新天地を選ぶたびに、いろいろな決断があったと思いますが、決断する時に大切にされていることはどんなことでしょうか?

「どんなことであれ、自分で決めたことは〝楽しもう〟と心がけています。例えば、海外のチームと契約した際、最初に聞いていた話と違うことがありました。再度交渉をしないといけなくなったのですが、起きてしまったことは変わらないので、その状況を良くするためには楽しんでやるしかないなと。人と関わる以上、思い通りにいかないことは数多くあります。決断後に予期しないことが起きても、それも含めて楽しもうという気持ちで臨むようにしています」

─海外のリーグでのプレー経験は、今の近賀選手にどんな影響を与えていますか?

「一番はサッカー選手としての視野が広がりました。海外を経験するまでは知らず知らずのうちに『いいサッカー』の固定概念ができていました。ただ、海外に行くと、いろんなサッカーがあって、いろんな選手がいます。サッカーに対する考え方も違います。海外でのプレーを通して、フィジカルや技術を高めるのも大切ですが、例え技術で劣っていても気持ちで負けることなく試合で戦える、本番で力を出せる、そういう要素も大事だと改めて気付かされました」