いよいよ明日8月13日からプロ野球後半戦がスタートする。巻き返しを図るうえでのキーマンは誰か、カープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

後半戦、復調に期待がかかる田中広輔選手。

◆攻守において動きが良い田中広輔をどう使うか

 まずは侍JAPAN、金メダルおめでとうございます。アメリカとの決勝戦、森下暢仁が痺れる展開で粘り強く投げてゲームを作ってくれて、栗林良吏も最後しっかりと締めてくれました。菊池涼介、鈴木誠也は本調子ではなかったかもしれませんが、チームの一員として精一杯頑張ってくれていました。4選手ともクタクタでしょうね。ただ、この経験は、必ず今後の野球人生に生きてくるはずです。いろいろな競技から刺激も受けたと思うので、今回の東京五輪を通して、一回り大きくなったことでしょう。

 カープに話題をうつすと、田中広輔の状態がずっと良いですね。9試合で22打数10安打。田中にとってエキシビションマッチは調整の場ではなく、アピールの場だったはずです。その中でしっかりと結果を残したのは、たまたまではなく状態が良いと捉えた方がいいでしょうね。ヒットの内容も良かったと思います。

 一方、同じ三塁のポジション争いをしている林晃汰ですが、田中とは対象的にずっと苦しんでいた中で、最後のソフトバンクとの2試合で意地を見せてくれました。9日に本塁打を放ち、翌10日はタイムリーを含む2安打。チームとしては林を使い続けたいところですが、結果を残した田中も使ってあげたいところではあります。田中は野球人としてしっかりしているので、悔しさはあっても采配に関して不満を持つことはないと思いますが、選手からすると試合に出られないのはキツいですからね。

 開幕当初は“タナキク”の活躍に期待し、前半戦の最後は若手選手たちの躍進があって何とか粘れた。それを踏まえて、佐々岡監督も、後半戦どう選手を起用していくか、迷っている部分があるのではないかと思います。

 坂倉将吾を捕手で起用すれば、林を一塁手として使う手もあります。エキシビジョンマッチ最後2試合では、クロンをテストしましたが、大きな結果を残せず2軍行きが決まりました。松山竜平も自分の打撃ができておらず、バットの面で球を捉えられず、こすってフライになるケースが多く見られるのは心配な部分です。

 いずれにしろ、ベテランと若手の融合は、後半戦に巻き返しを図るうえで、大きなテーマとなります。首脳陣にはチームを活性化させる采配を期待したいところです。