プロ3年目の2015年シーズンは、プロ入り後初の開幕スタメンを勝ち取り一軍に定着。規定打席こそ到達しなかったものの、鈴木誠也にとって飛躍の年となった。そして迎えた2016年シーズン、鈴木はついにブレイクを迎えることになる。今回は2016年春季キャンプ時のインタビューから、ブレイク直前の鈴木の打撃理論に迫っていく。

プロ4年目を迎えるころには、線の細さも感じさせなくなっていた。

「(2015年秋季キャンプは)二度とやりたくないくらいキツかったですね。バットを振ることは基本的に嫌いではないのですが、バットを持ちたくなくなるくらい厳しかったです。短期間であれだけ球を打つというのは、人生の中でも経験がなかったです(苦笑)」

 結果を残しても慢心しない。結果が出なければ、そのつど気の遠くなるほどの練習量を自らに課し課題を克服していく。2015年に試合出場数が増加したとはいえ、まだレギュラーを奪取したわけではない。2015年シーズンオフ、鈴木に浮かれた気持ちなど皆無。秋から打撃コーチに配置転換となった石井琢朗コーチ(現巨人野手総合コーチ)指導の元、厳しい秋季キャンプで自らを追い込んでいた。

 そして秋季キャンプ後のシーズンオフには、鈴木の野球人生の中でも大きな転機とも言える出会いがあった。2016年1月、ソフトバンクの内川聖一が複数選手と行っている合同自主トレに初参加。日本が誇るヒットメーカーとの出会いは、確実に鈴木の秘めた能力を引き出していった。

「内川さんに憧れがありましたし、日本一の右打者だと思っています。そんな方に見てもらいたいし、『どういう意識で練習をしているのか?』というものを自分の目で見たくて、5月くらいから小窪(哲也)さんだったり、琢朗さん(石井・当時広島コーチ)に相談して実現することができました。僕は球を捉えたときに左ひじが外に逃げる癖があって、うまく力が伝わらず、スライスする打球が多くありました。そこで内川さんから『体の中で打球を捉えろ』と言われ、『静態しているくらいの気持ちで打て』とアドバイスをもらいました」