◆無理をして試合に出続けた2012年
オレはプロレスラーになる前、そしてレスラーになったあとの2012年にも、右膝の前十字靭帯を断裂して手術を経験しています。特に2012年のときは、G1 CLIMAXっていうリーグ戦の最中で、靭帯を断裂しているのに自分の中で“できる”と判断して、次の日からも試合に出ていました。
やっぱりリーグ戦を途中で棄権するのはイヤだったし、ここで休んだらほかの選手に置いていかれるっていう焦りもありましたから。でも結果的に無理をして試合に出続けたことで、その年の10月から8カ月の長期欠場になってしまいました。
長期欠場が決まったときは、とにかく落ち込みましたね。ほかの選手とどんどん差をつけられてしまうんじゃないか、応援してくれているお客さまに存在を忘れられてしまうんじゃないかとか、当時はネガティブなことしか思い浮かばなかったです。
自分の中で焦りばかりが募って、退院したあとには、ちょっとでも会場のお客さまに気づかれたい、忘れられたくないと思って会場に行ったりもしていました。でも会場に行くということは試合を見るということでもあるので、ほかの選手が闘っている姿を見て、余計に焦りが募ってしまうという悪循環。あのときは本当に自分の中でどうしたらいいのか分からなくなっていましたね。
手術後のリハビリもツラかったです。術後はガチガチに膝が固まっているので、1センチずつ伸ばす、曲げるというのを、激痛に耐えながらやっていました。
そういう地道なリハビリをやっている中で、レスラーになる前に右膝の手術(前十字靭帯断裂)をしたときのことを思い出しました。また前のような状態に戻るのかな? 回復したとしてもプロレスラーになれるのかな? って、そのときは不安が募るばかりでした。