オリックス・ブルーウェーブ(現オリックス・バファローズ)、MLBワシントン・ナショナルズのトレーナーを務め、メジャー時代は「マック(高島の愛称)はゴッドハンドを持っている」と高い評価を得たトレーナー・高島誠。この連載では、数々のプロ野球選手を指導してきた経験をもとに、これまで公では語られることのなかった、マック流・野球パフォーマンスアップの秘密を披露していく。

今こそライバルと差がつく期間

野球専門のトレーニングジム「Mac’s Trainer Room」代表の高島誠です。『Mac高島の超野球塾』の連載をご覧いただき、ありがとうございます。

今回のコラムでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、球児のみなさんが、思うようにトレーニングできていない現状をふまえて、どんなことを意識して、この期間を過ごしたらいいかをお伝えしたいと思います。

前回のコラムで、プロ野球選手にとって開幕延期は、個人個人の戦略の立て方によっては、大きく飛躍する絶好のチャンスになると言いましたが、これは球児のみなさんにとっても同じです。

慣れ親しんだグラウンドでの全体練習、投げ込みや特守、バッティングマシーンを使った打ち込みなどができないため、野球の技術をレベルアップできる期間ではないと考えてしまいがちですが、マイナスに捉えても仕方ありません。視点を変えて、個々の体のポテンシャルを高める期間が、いまこのタイミングで偶然にもやってきたと捉えることで、意識を高めて自主トレに励むことができるはずです。

例えば、投手をやっている選手であれば、股割りトレーニングなどで、体の柔軟性を鍛えるチャンスです。股割りで頭をつけることができるまで柔軟性を高めることができれば、球速が劇的にアップする可能性が高まります。僕が、球速アップには柔軟性が不可欠だと考えている理由については、2回目のコラムをご覧ください。

特に高校球児だと、今の時期は、夏の県大会に向けて、投げ込みを増やしていた時期かもしれません。ただ、考え方によっては、投げ込みは肩が消耗する練習と捉えることもできます。

肩を消耗することなく、柔軟性のトレーニングにしっかりと取り組んでおくことで、全体練習再開後、驚くほど球速がアップし、躍動感のある投球フォームで投げることができる投手が増えるかもしれません。投手にとって柔軟性を鍛えることは、投げ込み以上に重要なのです。

以前もお伝えしましたが、投げ込みで体を柔らかくすることができません。逆に体が柔らかくなれば、野手も投手も良い動作ができるようになります。そして、良い動きができる選手は故障しにくくもなります。

柔軟性のほかには、前回のコラムでお伝えした、筋肉量と瞬発性を高めるトレーニングがおすすめです。逆にこの期間に個人練習に取り組んでおかないと、自粛期間が明けて全体練習が始まったとき、ケガをするリスクが高まります。そしてケガをすると7月から始まるであろう県大会には間に合いません。