即戦力外野手としてドラフト2位で入団した宇草孔基。キャンプから必死のアピールを続けてきたルーキーはどんなメンタルをもって野球人生を歩んできたのか?背番号38のこれまでに迫っていく。

 

 いきなり『線』を求めない。まずは、今できる『点』を積み重ねていく。いまどきの顔立ちのドラフト2位ルーキーの思考は、どこまでも地に足が着いている。

 「ヒットを打ちたいというのは、ある意味で欲です。それより、今、すべきことに集中することが大事だと思います。先を見据えながら、やるべきことを考えて取り組みたいです」

 身長185センチと大型ながら50メートル5秒8の俊足、常総学院高時代はU–18日本代表に選出、法政大でも侍ジャパン大学日本代表にも選ばれている。しかし、宇草孔基が求めてきたものは結果だけではない。自分に課された役割と、描く将来像を重ね合わせながら、野球へ真摯に向き合ってきた。
 例えば、高校時代である。春の甲子園で1試合5盗塁の大会タイ記録を残すほどのスピードを誇りながらも、いわゆる『ゴロを転がして走る』打撃を志向したことはない。

 「当てていこうと思ったことはありません。もちろん、2ストライク後は三振しないように意識はしますが、早いカウントから考えたことはありません。塁に出ることに必死でしたが、当てに行くと、案外と出塁できないものです。しっかり打ちにいった方が、ゴロ打球であっても高いバウンドになりヒットになることが多いと感じました」

 さらに思考が深まったのは、大学3年のときの不調だった。春季リーグで9打数1安打、宇草はフォーム改造に取り組んだ。それまでの足を上げるフォームから、すり足打法に変更した。

 「足を上げるか上げないかだけではなく、考え方もそうです。点と点が線になってつながりました。長打を捨てて出塁することを徹底しました。そうしたら、確率は上がり長打も増えました」