2月18日に開幕する『2022明治安田生命J1リーグ』を記念して、本誌初となる対談が実現。サンフレOBの吉田安孝さんと佐藤寿人さんが新生サンフレッチェについて大激論を交わした。編集部が進行役を担う予定も、お二人の久々の再会から盛り上がり、いつの間にか吉田さんが聞き手役に。ストライカー論、サンフレ期待の若手選手、そして新スタジアムについて、1時間じっくりと語り合ってもらった。（全5回のうち4回目・取材は1月上旬）
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◆柏にもう一度チームの中心としてプレーしてほしい
吉田：チームを支える存在として、シオちゃん（塩谷司）が帰ってきてくれたことはやっぱり大きいよね。
佐藤：大きいですね。
吉田：シオちゃんが出場した試合を何試合か見たんだけど、やっぱり一本のパスであったりフィジカルの強さであったり、そういうところの魅力はすごく感じたんだよね。
佐藤：清水戦（11月20日）では、シオらしいなと思うプレーがたくさんありましたね。優勝した時のような、相手のタイミングを少しずらすようなプレーも目立っていました。スキッベ新監督にどんな役割を任されるか分かりませんが、シオには求められる役割にすぐ対応できる頭の良さがあります。助っ人として、海外のチームでプレーした経験があるというのも心強いですね。
吉田：優勝を知っているメンバーが、その喜びを若い選手にも感じてもらうために、どれだけピッチの上で引っ張っていけるかにも期待して見ていきたいよね。
佐藤：あと僕の個人的な期待なのですが、カシ（柏好文）に、もう一度チームの中心としてプレーしてほしいなと思いますね。数年前までは、カシのチームと言っても良いくらい存在感のある選手でしたから。昨季は不完全燃焼だったのではないかと思います。
吉田：カシがボールを持つと攻撃のリズムが変わるよね。まだまだ老け込む歳ではないし、今季の活躍に期待したいね。
佐藤：カシの強みは、ジャブのように効く仕掛けで徐々に相手を疲弊させていって、後半の大事な時間帯に大きな仕事をするところですから。昨季は、そういう勝負どころで、彼がピッチから下がってしまう場面がかなりあったので、戦い方として少しもったいないなと思って見ていましたね。
吉田：カシと言えば、2015年のガンバ大阪とのチャンピオンシップ第1戦で決めた勝ち越しゴールが思い出深いよね。カシのスピードと勝負強さが光った試合だった。
佐藤：そうですね。昨季もカシが起点となって得点が生まれそうなシーンが何度もありましたから。あとはいかにボックス内で、カシを含め、サイドや中盤から届けられたボールをどうゴールにねじ込むかですね。そこに尽きると思います。最終的にどう攻撃の仕上げをしていくか。そのイメージが全員で共有できてくるとチームも変わると思います。
吉田：後ろは安定していたから、あとは得点力アップ。やっぱりそこが課題だね。
佐藤：セットプレーから数多く得点できたのは、昨季の良かったところだと思います。ただ、流れの中で相手を崩し得点を奪ったというシーンは少なかったので、そこは改善しないといけないポイントだと思いますね。今季は新監督のもと、横一線のスタートになると思うので、開幕までいろいろな競争があると思います。いかに前線でボールを引き出して、得点につなげていくか。練習の中で、どれだけイメージの共有をつくれるかというのが大切になってくるでしょうね。
吉田：そうだね。チームとして得点のチャンスの回数を増やしていくのも大事だけど、やっぱりサッカーは、最後の仕上げをしてこそ。このゴールを決めるというアクションに関しては、専属のコーチが必要だと思うんだよね。個人的には、寿人にサンフレッチェのストライカーコーチをやってほしい！
佐藤：（笑）。昨季、サンフレッチェの試合の解説をやらせてもらいましたが、〝ここに選手が入っていれば〟という場面をよく見てきました。パスを出したくても出せなかったシーンも多かったと思うので、チャンスをつくり出すという面でも、ある程度人数をかけないといけない時は、チームとして連動して動けるようにしていってほしいですね。（続く）
◆吉田安孝（よしだ やすたか）
1966年11月22日生。広島県出身。元サンフレッチェDF。現在は広島テレビ「進め！スポーツ元気丸」などのサッカーコメンテーターとして活躍中。また広島アスリートマガジンで、サンフレッチェへの愛情と情熱をぶつける『吉田安孝の紫風堂々』を連載中。
◆佐藤寿人（さとう ひさと）
1982年3月12日生。埼玉県出身。元サンフレッチェFW。現在は指導者・解説者として活動中。広島アスリートマガジンで、FWとして数々の記録を残したサンフレッチェでの現役生活にフォーカスを当てた『広島と共に戦った12年間』を連載。
