中日黄金期とも言える落合監督時代のチームを攻守に渡り牽引してきた井端弘和氏。緻密で正確、時に積極果敢なプレーで他球団から恐れられた井端氏に、ここ数年のカープ野球と、今季、優勝するためにカープが目指すべき野球、そしてそれを実現するうえでカギを握る選手とポイントを聞いた。(後編)
※シーズン開幕前に取材

今季37歳を迎える松山竜平は、オフに食事制限を行い体をつくり直すなど、プロ15年目のシーズンに懸ける思いは強い。かつて4番を打った経験もあるだけに、勝負強い打撃の復活に期待がかかる。

◆攻撃に厚みをもたす15年目を迎えるベテラン

 ここまで若手選手を中心に話してきましたが、ベテランで期待したい選手は松山竜平です。

 現役時代に対戦してきた経験からしても、状況に合わせて広角に打ち分けることができてミート力もある松山は非常に嫌な存在でした。長打を打てる選手がいないから自分でなんとかしようと気負うのではなく、シーズンを通して、的確に走者を返す打撃をしてくれれば、攻撃面において大きなプラスになると思いますね。

 佐々岡真司監督となり、今年で3年目を迎えます。就任当時は投手力の向上が課題だと言われており、そちらに注力してしまった結果が今の得点力不足に結びついてしまったのかもしれません。

 投手力が整備されてきたと思ったら、今度は鈴木誠也が抜けて野手に課題が出てきてしまったのを見ると、少しツイていないなと感じる部分もあります。とはいえ、先発には大瀬良大地、九里亜蓮、森下暢仁がいますし、床田寛樹も出てきました。新人投手もしっかりと右、左の補強ができていると思います。クローザーには昨年新人王に輝いた栗林良吏がいますし、球の速い若い投手も出てきているだけに、投手陣は非常に楽しみです。

 Aクラス、そしてその先のリーグ優勝を見据えた時には、投手陣の踏ん張りも重要になってくると思います。特に大瀬良は、今年は最多勝を取るくらいの活躍をしてくれるのではないかと期待しています。

 投手陣はそろっているだけに、あとはいかに点を取るか。やはり打線あっての投手です。そういう意味でも、野手陣の奮起に期待したいですし、野手の活躍が優勝を目指していくうえで欠かせない条件となりそうです。

◆井端弘和(いばた ひろかず)
1975年5月12日生、神奈川県出身。亜細亜大から1997年ドラフト5位で中日に入団。3年目にレギュラーに定着すると、落合博満監督が就任した2004年には荒木雅博と一、二番と二遊間でコンビを組みベストナインとゴールデン・グラブ賞をダブル受賞。以降も粘り強い打撃と堅実な守備で活躍した。2014年に巨人に移籍し2015年限りで現役引退。2017年から日本代表コーチを務め、東京五輪では内野守備・走塁コーチとして金メダル獲得に貢献した。

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