【番外編】

◆カープ史に見る犠打の歴史には意外な名前も?

 ここからは少し余談を。NPBの記録をのぞくと「通算犠打数上位40選手」のなかに広島OBの名前がチラホラと。たとえば13位に正田耕三(282犠打)、17位に東出輝裕(264)、35位に山崎隆造(217)の名が見える(11位の石井琢朗は広島在籍時の犠打数は18で割愛)…のだが、もののついでに広島だけで上位ベスト20の選手を調べてみると…。

1位 菊池涼介…305(112)
2位 正田耕三…282(44)
3位 東出輝裕…264(12)
4位 山崎隆造…217(88)
5位 梵英心…145(74)
6位 木下富男…138(48)
7位 達川光男…129(51)
8位 三村敏之…123(149)
9位 石原慶幸…127(63)
10位 木村拓也…106(42)
11位 古葉竹識…97(43)
11位 西山秀二…97(50)
13位 赤松真人…94(21)
14位 長嶋清幸…89(92)
15位 衣笠祥雄…88(504)
16位 緒方孝市…81(241)
17位 前田智徳…76(295)
18位 水沼四郎…74(41)
19位 田中尊…71(59)
20位 高橋慶彦…66(154)
(※カッコ内は通算本塁打数)
参考文献『広島カープ全史 1950ー2016』(ベースボール・マガジン社)

 いかがだろうか。特に上位10傑は納得感ありありの面々で、そのほとんどが2番打者タイプ。そうでない選手は達川光男&石原慶幸の“捕手組”で、いわゆるつなぎ役を任されることの多い選手がズラリと並ぶ。

 ところが11位以降となると意外な名前も出てくるのだ。なかでも衣笠祥雄の88犠打は異質で、実はこの数値、NPB通算本塁打上位10選手の中でもダントツの1位なのである(※2位は山本浩二の48犠打)。

 ちなみに通算本塁打数1位の王貞治は通算12犠打、2位の野村克也は11犠打、3位の門田博光は6犠打(4位は山本浩二)、5位の清原和博は5犠打、6位の落合博満は4犠打、7位の張本勲は4犠打といった数字が並ぶ。このなかで“抜けた”犠打数を誇るのが広島の誇る衣笠&山本浩二コンビというところに広島野球の性格の一端が垣間見える…ような気もするのだが、いかがだろうか。