類まれな記録を残してきたカープ選手を取り上げる『カープ歴代記録列伝』。ここでは、カープに息づく、記録にも記憶にも残る歴代記録を紹介していく。今回は、セ・リーグ史上初の「300犠打&100本塁打以上」を達成した菊池涼介の記録を取り上げる。

セ・リーグ史上初の「300犠打&100本塁打以上」を達成した菊池涼介

◆菊池涼介、史上2人目、セ・リーグ史上初の「300犠打&100本塁打以上」

 2022年シーズンのプロ野球が開幕してはや3週間。そのなかで史上2人目となる偉業がひとつ、達成された。

 菊池涼介の「300犠打&100本塁打以上」がそれだ。

 3月29日の阪神戦(マツダスタジアム)。菊池は3回無死一塁から投前に犠打に成功し、史上8人目となる300犠打に到達。本塁打はすでに「100本塁打以上」の112本を放っており(※数字は4月17日現在)、この瞬間、NPBの長い歴史の中でも伊東勤(西武)と菊池のわずか2人しかいない「300犠打&100本塁打以上」という極めてレアの記録が成立したのだ。

 ちなみにこの記録の“パイオニア”である伊東の犠打数は305(歴代5位)なので、その記録も超えた(※4月17日時点で306)。本塁打のほうはと言うと、伊東が156本で菊池が112本。伊東のプロ在籍年数は22年、菊池は今年で11年目だから、このまま年間ベースで本塁打を放てば、こちらも伊東超えの期待も持てそうな先行きが見通せる。と、それだけでもすごいのだが、菊池の場合はここまでの“中身”がまたすごい。

 たとえば通算犠打数を見ると、NPB歴代1位の川相昌弘が533(巨人、中日:1984ー2006 ※数字は実働年数、以下同)、2位の平野謙が451(中日、西武:1981ー1996)、そして3位の宮本慎也が403(ヤクルト:1995ー2013)、続く4位が現役の今宮健太(ソフトバンク:2011ー2022)の330。菊池の上にはいるのはわずかにこの4人しかおらず、シーズン平均の犠打数(※今季の成績は含まず)を見てみると川相が23.1犠打、平野が28.1犠打、宮本が21.2犠打。現役トップの今宮は29.7、菊池は29.6と“現役2トップ”の年間ベースは前出の3人を上回っており、現役二人がそのスタイル(・チーム内での役割)を変えない限り、通算犠打数でもトップ争いを繰り広げる確率は高い。