◆クロスが“武器”になった、広島のストライカーとの出会い
吉田「コマのことはユースの頃から見ているけど、キックの質、クロスの精度はナンバーワンだと思う。その分、かなりトレーニングもしたと思うんだけど、コマの中で印象に残っている試合、シーンはある?」
駒野「僕自身、クロスに自信を持てるようになったのは、(佐藤)寿人が広島に加入して、2人の関係が確立されたことがきっかけだったと思っています。寿人の存在があったからこそ自分のクロスに自信を持つことができましたし、クロスが自分の武器になったきっかけでもありました」
吉田「やはり、寿人の存在がコマの質を上げていったのかな?」
駒野「そうですね。寿人は身長もそんなに大きくない選手でしたが、動き出して勝負をしている中、スペースもない状況下でどれだけピンポイントに合わせられるかという部分にすごくこだわっていたので、そういった相手に合わせることで自分の技術を磨いていくことができたという意味では、すごく良い選手に恵まれたと思います。寿人には、僕のプレーを最大限に引き出してもらえたなとも思いますね」
吉田「確か、寿人の広島での初ゴールは、コマのクロスからだったよね」
駒野「そうですね」
吉田「コマと寿人の得点シーンの中でも僕が印象に残っているのは、あの雨の中のゴールなんだよね。寿人の存在はもちろんだけど、カズ(森﨑和幸)や(森﨑)浩司の存在も大きかったんじゃない?」
駒野「カズはユースから一緒にプレーしていましたが、高校3年の時からトップチームで試合に出る機会もあって、あんなに落ち着いてプレーできていたところはすごいと思っていました。浩司は攻撃面でキックの質だったりアイディアだったり、そういうところがずば抜けていましたよね。高校の頃から3人で一緒にやってきたので、あの2人の存在がなければ、今の自分もいないのではないかと思います」
吉田「カズはサンフレッチェ広島のクラブリレーションズマネージャー、浩司はクラブアンバサダーとして活躍しているよね。引退しても、この3人がクラブを支える側になるということにはすごく巡り合わせを感じるんだけど、コマ自身は、どんな風に感じている?」
駒野「うれしいですね。うれしいですけど……、いつかは3人一緒に現場で教えたいというのが、僕の夢なので。いつか、カズと浩司と一緒に、選手を指導できる日がくるといいなと思っています」
第2回へ続く。