昨シーズン、23年間の現役生活を終えた1人のサッカー選手がスパイクを脱いだ。
2000年からサンフレッチェ広島で活躍し、日本代表としてW杯にも出場したDF・駒野友一だ。J1、J2、J3、JFLとすべてのカテゴリーを経験したベテランは、今シーズンから指導者として新たなキャリアをスタートさせる。
今回は、駒野コーチと親交の深いOB・吉田安孝氏がインタビュアーとなり、広島復帰を決めた裏側から、コーチとしてのビジョンまでを対談形式でお届けする。
◆体の限界を感じて決めた現役引退。第二の故郷に指導者として復帰
吉田「久しぶりだね！」
駒野「お久しぶりです！」
吉田「今日は、いつも呼んでいるように『コマ』と呼ばせてもらおうと思います。まずは、現役生活お疲れ様でした。そして、広島に帰ってきてくれてありがとう」
駒野「こちらこそ、ありがとうございます」
吉田「現役を引退して、サンフレッチェ広島に帰ってきて……というここまでの流れを、コマの中ではどう受け止めている？」
駒野「まだ指導という形でクラブやスクールに関われていないので、今のところは、あまり実感が湧いていないですね」
吉田「引退をすると決めて今に至っているわけだけど、引退を決めたのはいつ頃だった？」
駒野「FC今治では4年間プレーしたんですが、今治に行った時から、ここで引退しようと思っていました。自分自身、これまではケガをしても一回で治っていたのですが、昨年、シーズン前に肉離れを起こした後、同じケガが3回続いてしまったんです。引退の直前には3試合に出場させてもらったのですが、90分保たなくて……。これまでであれば90分プレーしても足は攣らなかったんですが、試合に出れば出るほど早い時間帯から足が攣ってしまうようになって、そこで『これはもう、体が限界に来ているんだ』と感じたので、引退を決意しました」
吉田「引退の報道が出る前に、電話で報告をしてくれたよね。あれは本当にうれしかったんだけど、コマのことだから、いろいろな人にああして気持ちを伝えていたんじゃないかなと思う。一番最初に引退を伝えたのは、誰だった？ やっぱり家族？」
駒野「家族ですね。奥さんに電話で、引退するということを伝えました。奥さんもすごく悲しんでいましたし、その後に奥さんから子どもに僕が引退することを伝えてもらったのですが、子どもは泣いていたと聞きました。自分で直接伝えられなかったのは、申し訳なかったと思っています」
