B1リーグに進出して3年目を迎えた広島ドラゴンフライズ。一度はドン底を味わい、そこから少しずつ上位リーグで通用するチームづくりを行なってきたカイル・ミリングヘッドコーチ。彼が大切にする、チームづくりの哲学を語ってもらった。

広島ドラゴンフライズを率いる、カイル・ミリングヘッドコーチ

◆チーム内での化学変化が起こっている

―B1リーグに上がって2年目の昨シーズンは西地区6位でした。そこから振り返って、現在の成績についてどう感じていますか。

 「本当に良いスタートが切れ、チームとしても良い改善の傾向が見られていると思います。2年前にB1リーグに上がって、ワーストの成績を記録。昨年は順位が上がり、今シーズンは、ここまでこの順位(西地区3位、3月13日現在)ということは、良い改善ができている証だと思います」

―良い改善というのは、具体的にどの部分でしょうか。

 「チーム内での『ケミストリー(化学反応)』がよく現れていると感じています。チームとしての目標をみんながしっかりと理解し、その目標を達成するために、全員が共通意識を持ってゲームに臨んでいます。個々のキャラクターが違い、生まれ育った文化も違いますが、そんな選手たちが集まり一致団結して、ケミストリーを起こしているのを感じています」

―自分に与えられた使命やチームの目標に対する理解度が深まり、実戦で発揮できるようになってきたと?

 「一人ひとりが役割を理解していると思います。もちろん、それぞれが個人的な目標を持ってはいますが、それが合わさってチームとしての目標に向かっている結果です。バスケットボールは5人しかコート上に出られないスポーツですので、5人それぞれが役割を理解していないと結果が生まれません。ゲームを見ていると、それぞれがしっかりと役割を遂行しているなと感じています」

―その結果が今の成績につながっているんでしょうか?

 「その通りですね。目標や役割の理解力が深まることで、たとえ負けた時でも、気持ちを保ち続け、前向きに次の試合へ準備ができるのです」

つづく

◆カイル・ミリング
1974年7月27日生、アメリカ出身。1998年からの2シーズンは日本(日立大阪ヘリオス)で選手としてプレー。2011年に選手を引退し、教員としてカリフォルニア州の高校でバスケットボールの指導を行う。2013年からはフランスリーグでアシスタントコーチを務め、2015年に横浜ビー・コルセアーズのヘッドコーチに就任。2021年からは広島ドラゴンフライズでヘッドコーチとして指揮を執っている。

広島アスリートマガジン4月号は、いよいよ始動した新井新監督が表紙を飾ります!広島のスポーツチームを率いる監督たちの哲学にもご注目ください!