正確無比なスリーポイントシュート、 警戒する相手を引きつけて隙を突くパス。バスケットボール界の名門と言われる学校やチームを経て、日本を代表する選手へと成長した辻直人選手が、2022−23シーズンのチームキャプテンに任命された。これまでの数々の経験を活かし、チーム史上初のCS進出へと導いたそのチカラの秘密を伺った。(2023年4月7日取材)

広島ドラゴンフライズ SG #3  辻 直人選手

勝つために伝える、厳しい戦いの経験

―チームキャプテンに就任され、どんな思いでシーズンにのぞまれましたか?

「昨シーズンは一年を通して、なかなか思うようにいかなかった悔しいシーズンでした。ですから自分が思ったこと感じたことなどを、今シーズン最初に、みんなに話をさせてもらいました。気付いたことをみんなで発言、共有していこうと。

シーズン中でも、そういったことを言い合って、チームが少しずつ変わればいいかなと思っています。今シーズンから、チームキャプテンを任されて、自分のことだけではなく周りを気に掛ける意識をより持つようになりましたね」

―気に掛けるというのは、選手やチームの様子を見て気になることに対して声をかけたり、コミュニケーションを増やしたりということでしょうか?

 「全体を見て自分なりに感じたことを積極的に発言したり、選手間だけでなくスタッフやヘッドコーチ(以下HC)に対しても積極的にコミュニケーションを取るようになりましたね。コート外でのコミュニケーションは、チームとしてすごく取れているとは思うんです。でも試合中に必要な瞬時のコミュニケーションは、まだ十分に取れていなかったりする場面があります。必要な声であったり、アイコンタクトであったり、それらのコミュニケーションから連携が生まれてくることもたくさんあります。そのあたりは、まだまだ改善の余地があると感じています」

―コミュニケーションを大切にされる、カイル・ミリングHCとのやり取りもよくされますか?

 「試合や練習以外でもコミュニケーションをしっかりと取ってくれる人ですね。バスケットやチームのことが主ですが、これからどうして行きたいとか、自分はこう考えているとか、自分の考えをしっかりと伝えてくれます。逆に僕からの意見もきちんと聞いてくれますし、理解してくれます。

考えをみんなに伝え、個人の意見を聞いてくれるすごくオープンな人ですし、それは選手としてとてもやりやすいです。HCがどう考えているかが分かれば、自分はどう動けばいいかということも、考えることができますからね。チームはHCの考えに沿って進んでいくので、HCの思いを現場レベルでみんなに伝えていくのが、僕の役目だと感じています」

辻 直人(つじ・なおと)

1989年生まれ、大阪府出身。バスケットボールの名門である京都・洛南高では2年時にインターハイ準優勝、ウィンターカップで優勝。3年時にはウィンターカップ連覇を成し遂げた。青山学院大学の4年時には、関東大学リーグや全日本大学選手権で連覇を果たし、MVPに選ばれる。卒業後の2012〜21シーズンには川崎ブレイサンダースに所属し、常に上位の成績を収める強豪チームの一員、また日本代表として活躍。2022年から広島ドラゴンフライズに加わり、今シーズンからチームキャプテンとして選手たちを牽引している。

広島アスリートマガジン5月号は、「まだ見たい!もっと見たい!」勝利を知る経験者たちの魅力をお届け!CS初進出に導いた経験者・辻 直人選手独占インタビューのほか、カープ3連覇を支えた投打の主力たちの現在地に迫ります。