プロ野球・広島東洋カープ、サッカーJ1・サンフレッチェ広島をはじめ、多数のスポーツチームが存在する広島県。広島アスリートマガジンの連載《HIROSHIMA SPORTS NAVI》では、スポーツ王国と呼ばれる広島で活躍するスポーツチームから、選手自らがナビゲーターとなりチームや競技の魅力を紹介する。
今回は『ヴィクトワール広島』から、阿曽圭佑選手が登場。主将としてチームを引っ張る阿曽選手が、自転車ロードレースの魅力を語ります!
◆世界有数の過酷なレース
自転車ロードレースは『世界三大過酷なスポーツ』と言われるほどタフなスポーツです。1枚のウエアだけを身につけて、平地であれば50キロ、60キロといった速度で走ります。危険と隣り合わせですし、練習も長時間に渡ります。ただ、レースが過酷であるからこそ、優勝した時には本当に報われる思いがしますし、感極まって涙する選手もいます。そういった人間味を垣間見ることができるのも、魅力の一つだと思っています。
観戦している方からは、「音がすごい」と言われますね。集団が走り抜ける時の風を受けたり、車輪の音やギアを変える音を生で聞くと、その迫力を感じてもらえるのではないでしょうか。人間が自転車で、尋常でないスピードで駆け抜けていく様子は、見ていても楽しんでもらえると思います。
そして自転車ロードレースは、『機材スポーツ』とも呼ばれています。レースでは、自転車メーカーが最先端の技術を持って開発した自転車を使いますし、ウエア1枚をとっても、水泳選手が水着にこだわるように、各メーカーが、空気抵抗ができるだけ少ないウエアを開発しています。ヘルメットの形、グローブをつけるかつけないか。そういった細かい部分でも結果が変わってくる、繊細なスポーツであるとも言えます。レース中だけでなく、練習中も、『パワーメーター』という機材を使っています。これは、「ペダルをひと踏みしたらどのくらいのパワーが出るか」を数値化する機材なのですが、そうして集めたデータをもとに、「このパワーを何分維持できるか」「これ以下の速度にならないようにするにはどうすれば良いか」を目視化しながら、日々のトレーニングを重ねています。
◆競技自転車との出会いは高校。ヨーロッパでの競技経験も
僕が自転車ロードレースを始めたのは、実はダイエットがきっかけでした。高校で自転車競技部に入部した友達がすごく痩せたのを見て、僕もやってみようと(笑)。最初は自分の体型が変わっていくことに面白さを感じていたのですが、やっていくうちに力もついてきて、全国大会にも出場することができるようになりました。インターハイや選抜大会に出場する中で、「やれば結果がついてくる」という自転車の魅力にはまっていくようになりました。
大学卒業後は、ヨーロッパで競技をしていた時期もあります。日本とヨーロッパでは自転車ロードレースを取り巻く環境はかなり違っていて、向こうでは地域に密着した、国をあげて楽しむスポーツになっています。シーズン中は毎週3、4レースが開催されるので、とにかく実戦で経験を積んでいくという感じでした。大きなものだと21日間かけて走破するというレースもあり、走るコースも国全域にわたるので、たくさんの人の目に触れる機会があるのも特徴でした。