6月15・20日に行われるキリンチャレンジカップ2023に臨む、日本代表メンバーが発表された。森保一監督のもと、三笘薫(ブライトン)、久保建英(レアル・ソシエダ)、旗手怜央・古橋亨梧(いずれもセルティック)とともに名を連ねたのが、初の代表選出となるサンフレッチェ広島・川村拓夢だ。

 アカデミー出身、愛媛での武者修行を経て2022年に地元・広島でブレイクを遂げた23歳のMFは、ついに代表への切符を手に入れた。

 ここでは、2022年9月収録の独占インタビューを再編集して掲載。広島に復帰し、J初ゴールをあげた直後の川村の言葉をお届けする。

(前編はこちら)

試合後に笑顔を浮かべる川村拓夢(撮影は2022年)

◆試合を重ねるごとに、川村拓夢の魅力が爆発中!

―(2022年)9月3日の清水戦では、レッドカードで10人になりながらも交代で入った川村選手が2得点をあげチームを勝利に導きました。超ロングシュートも話題となりましたね。

「ドウグラス・ヴィエイラ選手からのパスを受けた時、前と横に相手選手もいなくて、ゴールを見たらそこも空いていたので、『誰もいないじゃん』と思ってシュートを打ちました。ユースの時も同じようなゴールを決めているし、自分としては大したゴールではないと思っています」

―SNSでゴールシーンの動画が切り取られるなど、注目を集めましたが。

「ありがたい気持ちもありますが、僕自身は、1得点目の方がいいゴールだったと思っています」

―1得点目は柏好文選手からのボールでしたね。

「自分がポケットに入ったときにボールを持っているのが柏選手だったので、絶対にパスを出してくるだろうと思いました。相手GKは見えていなかったのですが、自分を信じて感覚で打ちました。試合終盤は頭も体も疲れているので、相手にも隙が生まれやすい。その隙を見逃さずに決められているのが、今の結果につながっているのだと思います」

―9月21日のルヴァンカップ・福岡戦(○2ー3)でも2得点を決めました。

「荒木隼人選手がヘディングした時に、『このスペースにボールが落ちてきそうだな』という自分の嗅覚を信じて走ったんです。相手選手が空振って、GKがパンチングしようとしていましたが、自分の方が出だしが早かったのでうまくヘディングを決められました」

―2得点目は佐々木翔選手のパスから始まりましたね。  

「佐々木選手が縦パスを入れてくれたおかげでチームに一気にスイッチが入って、カウンターが決まりました。あのシーンも、そこにボールが落ちてくるだろうという嗅覚を信じて走りました。自分のゴール感覚というか、嗅覚には自信があります。ここに落ちてくるだろうなと思ったところに、本当に落ちてくる回数が多いんです。嗅覚に自信を持って、自分を信じて、走り続けたいと思います」

―点が取れるボランチと言われます。  

「試合に出る度に良くなっている感覚があるので、もっと試合に出たいという思いが強いです。ボランチは若手だと野津田岳人選手、松本泰志選手というライバルがいますが、野津田選手はボールをつなぐことに長けた選手。松本選手は3試合連続ゴールを決めているし、自分と似たタイプ。試合に出続けるためにも、結果にこだわっていきたいと思っています」

―(取材時の2022年10月初旬)ここから、タイトルをかけた戦いが続きます。

「広島復帰1年目からこんな経験をさせてもらえることが光栄です。プレッシャーは全くなくて本当に楽しみ。これまでルヴァンカップは決勝で2回負けていますが、当時はテレビで見ていて本当に悔しかった。次は選手として借りを返すというか(笑)、タイトルを取って、クラブの歴史を新しくつくっていきたいと思っています」

―川村選手は元々サンフレッチェが大好きなサッカー少年だったんですよね。

「サンフレッチェの選手になることが一番の目標でした。佐藤寿人さんはヒーローでしたし、今は青山敏弘選手のような広島のバンディエラになることが目標です」

川村拓夢(かわむら・たくむ)
1999年8月28日生、23歳/広島県出身
183cm・72kg/MF
広島Jrユース−広島ユース−広島−愛媛(レンタル)−広島(2022〜)
愛媛での武者修行を経て広島復帰。長身とリーチの長さを活かしたプレーが持ち味のボランチ。2022年は公式戦27試合に出場し7得点を挙げた。2022年Jリーグアウォーズでは、年間最優秀ゴールを受賞。