期待の若手投手であるカープ島内颯太郎が、今季初となる一軍合流を果たした。小園海斗と同じ2018年のドラフト会議で即戦力投手として2位指名され、昨季は中継ぎとして25試合に登板。オープン戦の段階では防御率0.00で開幕一軍を堂々と勝ち取ったが、年間通しての一軍帯同は叶わなかった。

スライダーの比率を少し増やすなど、島内投手は春季キャンプの段階から試行錯誤を繰り返している。

「オープン戦のときは本当にガムシャラに『必ず開幕一軍を勝ち取る』ということだけを考えてやっていましたけど、シーズンに入るとやはり気負うところがありました。自分の投球内容でチームの勝敗、順位に直結してくる部分もあるので、そこで緊張感が一気に増しましたし、ちょっと力み過ぎたという印象が残っています」

 150キロを越す速球が示すように、球の威力は誰もが認めるものがある。しかしながら本人のコメントにもあるように、不必要に力むことで本来の投球内容を見失っていたという。

「もともとコントロールは良い方ではないと言いますか、コースの際に投げ込めるようなコントロールを持っているタイプではないです。大まかにストライクを取って、真っ直ぐでファウルを取ってカウントを稼ぐ、というのが自分の持ち味だったんですけど昨季の前半戦はその持ち味を出せない試合が多かったです。大まかに投げておげば良いものを、いま思えばコースを狙いすぎて自分から崩れていくというパターンが多かったですね」

 昨季オープン戦は防御率0.00であったにも関わらず、開幕直後の4月には二軍降格を味わった。大学の先輩である大瀬良大地からは「その日ダメだったことを次の日に持ち越してはダメだ。中継ぎは毎日投げる可能性がある仕事だから、それはそれで切り替えてやるしかない」と声をかけられた。自問自答した島内は、持ち味である直球ともう一度向き合う道を選択した。

「自分の投球の持ち味は真っ直ぐなので、持ち味をもう一回取り戻すといいますか、大まかでも良いので自分の勢いのある真っ直ぐを投げるということを意識しながら練習していました。それをブルペンの段階からやりつつ、実戦でも同じ意識で投げるということをずっと頭の中に置きながら練習していましたね」