カープ・大瀬良大地とは同じ長崎県出身の同学年、高校時代には県予選でしのぎを削り、プロ入り後はチームメートとしてリーグ3連覇に大きく貢献した今村猛さん。現役引退から2年、タフなリリーバーとして活躍した今村さんに、大瀬良との思い出を語ってもらった。(全2回・第2回)

今村さんのパーソナルジムの壁には、大瀬良の直筆サインが。

◆印象的だった『練習量』。ストイックな姿が一番記憶に残っている

 いつしか、一岡(竜司)さんと大地と僕で『カピバラ3兄弟』と呼ばれるようになりました。僕自身も「顔の系統が似ているな」……とは思っていたので(笑)、大地と一緒に周囲から盛り上げていただけることはうれしかったです。ファンのみなさんに認知してもらえますし、ファンの方から3人に同じプレゼントが届いたりもしていました。3人でカピバラについて話をすることは……なかったです(笑)。

 (大瀬良)大地と一緒に過ごしたプロ生活で印象に残っていることはたくさんありますが、まず思い浮かぶのは『練習量の多さ』です。「いつまで練習をするんだ?」というところまで練習をしていて、みんなが帰った後でも1人で走っていたり。それを続けられることがすごいですし、準備に対する意識がすごくストイックですね。大地の投球もすごいですが、練習する姿が一番印象深いです。

 また、年数が経ち後輩が増える中で、言語化して教えることができるようになったと思います。元々プレーで引っ張るタイプでしたが、後輩と話す機会が増えてきたことも影響していたのかもしれないですね。若い頃は闘志を押し出す印象が強かったですが、あるとき、ピンチを抑えても冷静にベンチに帰ってくることがありました。それを見たときに、「チームを引っ張るためにあえて冷静に振る舞っているんだな」と感じたことがあります。

 もう1つ印象に残っているのは、僕が現役引退を決めた年の出来事です。僕がカープを去る事が決まった後、大地がマツダスタジアムで先発(2021年9月14日)した際に、僕の登場曲を使用してくれたんです。僕は何も知らなくて、実は後日知ったのですが(苦笑)、少しでも大地にそう思われていたんだな……と思うとすごくうれしかったですね。現役引退を決めてオフに食事をする機会がありましたが、そのときも僕ら2人はいつもと変わらずでした。お互いに、今まで通りの関係が良いなと思っていたのかもしれませんね。

 現役引退後はたまにメールをして、オフに食事に行くくらいですね。ですが、大地のプレーはいつも気にしています。

 僕にとって大地は、夢を見させてもらっている、そういう存在ですね。「どこまで大地はやってくれるんだろう?」と。何歳までも野球をやっていてほしいですね。一軍で1年でも長く、45歳でも50歳でも(笑)。やはり大地が頑張っていると、僕も頑張ろうと励みになりますし、体には気をつけてもらいながら、〝良い意味で〟無理をしてほしいです。大地はたくさんのファンの方々の気持ちを背負っているので、これからも突っ走ってください。