プロ1年目の今シーズン、5月20日に一軍デビューを果たすと、その豪快なスイングに大きな期待と注目が集まっている佐々木泰。県岐阜商高から青山学院大に進むと、全日本大学野球選手権大会でMVPに輝くなどその才能を発揮してきた。プロ野球選手としてのスタートを切ったドラ1が、仲間でありライバルでもある同期とのエピソードを語る。(全3回/第2回)
◆再三のケガとの戦い。同期の活躍を力に変えて
ー高校卒業後は、青山学院大へ進学されました。
「自分の1つ上の先輩投手が青山学院大に行かれたのですが、その先輩の視察に監督が来られていたのがきっかけで、ちょうど自分のバッティング練習を見てくださっていて声をかけていただいたという流れでした」
ー佐々木選手にとって、大学時代はどのような4年間でしたか?
「もう一度、高校野球を体験できたという感覚です。人生を通して一度も日本一を獲ったことがなくて、高校でも日本一を目指していましたが、コロナの影響もあり……という状況だったので、大学で日本一を実現することができて本当にうれしかったです。また、“寮生活”が初めてだったので、仲間と一緒に生活して、毎日野球をするという体験ができた貴重な時間でした」
ー大学の1学年上の常廣羽也斗投手とも、再びチームメートになりましたね。
「大野寮で夜ご飯をよく一緒に食べています。笑いながら大学時代の思い出話をよくしていますね」
ー今年1月には入団会見も行われましたが、当日は緊張しましたか?
「緊張はあまりありませんでした。(佐藤)柳之介や、(渡邉)悠斗とは、大学の時に対戦したこともあるのですが、その他の選手が初めてだったので、会えることを楽しみにしていました」
ー同期入団で大卒野手である渡邉選手は佐々木選手にとってどんな存在ですか?
「ライバルという気持ちはもちろんありますが、やっぱり一緒にできる喜びという方が大きいですね。大学の時は全国大会で2回くらい当たっていて、大学時代は戦っていた選手と、次はプロの同じチームでできるというのは、すごくうれしいですし、これからも高め合い、将来的には2人でクリーンアップを打てるようになっていたら良いなと思っています」
ー内田湘大選手、仲田侑仁選手など年下で同じ右打者がいますが、どういう存在と捉えていますか?
「大卒とはまた違って、フレッシュさと言いますか、見習わなきゃいけないなと思うところももちろんありますし、高卒2、3年目とは思えないぐらいの飛距離や、スイング力もあって刺激になっています。すごい世界でやっているんだなというのは毎回思いますね」
ー初めての春季キャンプは、左肩故障の影響もあり二軍でのスタートとなりました。どんな意識で取り組みましたか?
「“強く振る”というところは、これまでもずっとやってきた意識なので、そこは崩さずに、どんな球に対しても強く振ることを心がけていました」
ーキャンプはチームの方針で、野手陣はかなりの量を振り込んでいました。
「大学時代は、チーム全体であんなに振り込むことがなかったので、高校時代を思い出しましたね」
ーその後、3月1日に行われた倉敷での楽天とのオープン戦で一軍昇格し、3試合目となる3月5日に肉離れとなりました。その瞬間はどんな心境でしたか?
「『もう終わった』という思いでしたね。3試合目でしたが、自分の中で少しずつプロとして戦う自信がつき始めたくらいでのケガだったので、悔しかったです。開幕一軍を自分としても目標にしていたので『またリハビリか……』という思いでした」
(後編へ続く)