昨季、深刻な得点力不足に苦しんだ新井カープ。しかし一転して今シーズンは、6月上旬時点でチーム打率がリーグ上位を推移している。打撃陣の『変化』の要因は、一体何なのか。朝山東洋一軍打撃コーチに話を聞いた。(全3回/第2回)
◆二塁打を数多く打てる打線。四球を増やしチャンス拡大
─今シーズン、新井監督が『変化』を掲げる中で、選手の起用法などはどのように考えているのでしょうか。
「どの球団も同じ部分があると思いますが、同じ力であれば選手を起用するケースもありますし、今シーズンに関してはそういう監督の方針もあると思います。強いカープをつくっていくには、やはり20代のイキの良い選手が数人オーダーにいれば、3連覇の頃のように強い時期がやってくるでしょうし、そういう思いがあると思います」
─開幕戦のオーダーでは、22歳の二俣翔一選手が1番スタメンでした。
「キャンプ、オープン戦を通じて一番結果を残してきた若手が二俣でした。昨季までは秋山(翔吾)が一番を打つことが多かったですが、坂倉(将吾)の離脱などもありましたからね。その状況で、経験のある秋山を5番、若い二俣が1番としてガンガン何かをやってほしい、という意図がありました」
─シーズン開幕後の打線をどのように見ていましたか?
「相手投手のレベルやさまざまな兼ね合いもありますが、打てる試合と打てない試合のギャップがある印象でした。打てなくなるとみんなが打てなくなる、ですが打てるときはすごくつながったりもします。まだまだ力をつけている途中かと感じます。若手は皆、キャンプで厳しい練習をこなしましたが、すぐに結果が出るほど甘い世界ではありません。ただ、『あれだけ練習をした』という自信を持って打席に入れているよ思います。例えば、田村(俊介)も詰まったヒットを打った後に『キャンプで振り込んできて良かった』と言っていたりしました」
─先ほどお話しされたように、少しずつ練習の効果が見えているということですね。
「大きな結果として出ることはなかなかないかもしれませんが、試合を重ねていくなかで、先ほどの田村のように感じる部分が出てきてほしいですね」
─『長打』については、現状いかがでしょうか。
「昨季よりも二塁打が多い印象があります。昨季は本塁打も出ない状況でしたが、今シーズン序盤には、末包(昇大)も良い形で結果を残していました。長打はホームランと連想しがちですが、個人的には二塁打が多く出るチームが強いと思っています。例えば、長打力がない選手がホームランを量産することは難しいですが、外野の間を抜ける打球を打つことはできます。その意味ではチーム全体として二塁打を増やしていけば得点力が上がります。ホームランはある程度の天性な能力も必要ですが、努力すれば単打を二塁打にすることはできますからね」
(後編へ続く)