◆回転が違う2種類のフォークボール

 「イイダラボ」によると、フォークを投げる際、改善前は、リリースポイントの縦の高さが1.67mとなっており、ストレートを投げる時と比べて0.7mの違いがありました。また、横の幅も0.61mと0.47mで異なっています。

 しかし、改善後は縦の高さが1.74m・横の幅が0.61mとなっており、ストレートを投げる時のリリースポイントと変わりないことが分かります。これはフォークボールを投げる際のリリースポイントが修正され、ストレートを投げる際とほとんど変わらないことを示しています。

 ラプソードを使ってリリースポイントを修正したことは、このデータから一目瞭然ですが、ラプソードにより導き出されたデータからはもっと多くのことが分かります。

 具体例として一つ面白い視点を紹介します。数値からの分析ですが、改良版フォークボールは、EFFICIENCY(回転効率)が94%から86%になっています。これは、簡単に言うとジャイロ成分が増えたことを意味します。7回目のコラムでも紹介しましたが、ジャイロ回転するボールは空気抵抗が少なく、初速と終速の差が小さくなり、打者の近くでボールが変化するのが特徴です。

 個人的にはこのEFFICIENCY(回転効率)が気になっています。ジャイロ回転が加わったぶん、ストレートの回転とは明らかに違うからです。もちろんジャイロ回転するボールがあるのはいいことですが、ジャイロ回転のボールが何種類あるかどうかが非常に大事です。

 一軍の打者は、ボールの回転をしっかりと見分けてきます。EFFICIENCY(回転効率)が99%のストレートと、86%のフォークだと、回転効率が10%以上も違うため、もしストレートとフォークしかない場合、いくらリリースポイントを修正したとしても、選球眼の良い打者には見分けられてしまう可能性が高いと言えます。

 改良前のフォークのEFFICIENCY(回転効率)は94%。回転自体は99%のストレートに近いため、個人的にはこちらのフォークも投げられるようにしておくのがいいのではないかと思います。