◆旧・現・新エースが揃い踏み

 まず大事なのは飛躍を遂げたニューリーダーである“キクマル”コンビが、ケガなく1年間スタメンを張ること。それに続けと牙を研ぐ堂林(翔太)に(鈴木)誠也、そして中部学院大からドラフト1位で入ってきた期待のルーキー・野間(峻祥)らの勢いがどれだけ加わるか。

 さらにヘスス・グスマン、クリス・ジョンソン、マイク・ザガースキーといった新戦力の外国人選手がどうフィットしてくるか……注目のポイントを挙げていくとキリがない。そもそもクロ、マエケン(前田健太)、(大瀬良)大地という旧・現・新エースが揃い踏みというのは他チームにとっては脅威でしかないだろう。

 僕は今、解説の仕事をしているが、2015年シーズンの順位予想でカープは絶対1位に推す。当然私情もあるが、客観的に見ても太鼓判を押していい戦力が揃ったと思う。クロのみならず、阪神から新井(貴浩)が復帰することも大きい。彼は阪神でもあれだけ叩かれ、広島復帰に際しても賛否両論騒がれるほどの選手。とにかく修羅場をくぐってきた彼のような選手の経験が若い選手の手本になることもあるだろう。

 恒例の大型連敗癖、試合数が変更となる交流戦、そして宿敵・巨人との戦い、秋口の失速……2015年のチームがこれらのレッテルをどのように剝がしていくか注目したい。「お、第一関門である交流戦突破! 次は9月だな……」という見方をしてもいいかもしれない。

 これまでやられてきた部分を一つひとつ覆していくことで、ますますチームは盛り上がることだろう。そういう新たな歴史をつくるシーズンをぜひとも期待したい。

●野村謙二郎 のむらけんじろう
1966年9月19日生、大分県出身。88年ドラフト1位でカープに入団。プロ2年目にショートの定位置を奪い盗塁王を獲得。翌91年は初の3割をマークし、2年連続盗塁王に輝くなどリーグ優勝に大きく貢献した。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁でトリプルスリーを達成。2000安打を達成した05年限りで引退。10年にカープの一軍監督に就任し、積極的に若手を起用13年にはチームを初のクライマックス・シリーズに導いた。14年限りで監督を退任。現在はプロ野球解説者として活躍中。