昨季、チームが苦しい戦いを強いられる中で主軸として孤軍奮闘し、自身初の打撃タイトルとなる首位打者、最高出塁率を獲得した。チームでは背番号1を背負い、日本代表でも4番を任されるなど、今や球界を代表する選手となった鈴木誠也。だが、自身を取り巻く状況が変わっても、真の4番が目指す理想像に変わりはない。

4年連続二桁本塁打、球団最多タイのサヨナラ本塁打通算5本など、タイトル以外でも非凡な打撃センスを見せた鈴木選手。

 新たに背番号1を背負い、名実共にカープの顔として臨んだ2019年。周囲からリーグ4連覇、悲願の日本一奪還の声が高まるなか、鈴木誠也の肩には知らず知らずのうちに重圧がかかっていた。2年連続でセ・リーグMVPに輝いた丸佳浩が、FA権を行使し巨人に移籍。野手陣のリーダー的存在だった新井貴浩も、18年シーズン限りでユニホームを脱いだ。

 となれば開幕前の話題は『鈴木の前後には誰が座るのか』、『新井の抜けた穴を、どう埋めるのか』というものが大半を占めるのは当然だ。なかでも3番、5番という打順はシーズン開幕後もテーマとなり続け、クリーンアップの好不調がそのままチーム成績にも反映される形となった。開幕からの5カード連続負け越しは、主軸の不振が影響した部分も少なくない。

「いざ丸さんと新井さんが抜けて、3番、5番が固定されない形で途中までずっときていたので、『自分で決めよう』とか、そういう思いが正直強かったです。周りを頼ってないわけではないんですけど、やっぱり今まで新井さんや丸さんに助けてもらっていた部分があったので、どうしても『自分で決めなければいけない』という変な責任がありました。そういう気持ちが空回りして、シーズン最初の方は全然うまくいかなくて……。あまりにダメ過ぎたので『何か変えていかなければ』と思って、今まで通りの考え方に戻したんです。それは何かって言うと『自分で決めよう』ではなくて、『後ろにつなぐ』という元々やってきたスタイルでした」