カープを象徴する選手と言っても過言ではない。人に優しく、自分に厳しい。謙虚で向上心を失わない。そんな大瀬良大地がカープの新選手会長に就任した。〝強いカープを取り戻すために必要なことは何か〟カープのエースが力強い言葉で語り始めた。(全4回のうち4回目・取材は2021年12月下旬)
◆同じ方向を向き、戦い方を含めた一体感を高めたい
─昨季は2年ぶりに2桁勝利を達成し、最後の登板では會澤選手とのバッテリーで完封勝利もあげました。ご自身の昨季の成績はどう捉えていますか?
「最低限はチームに貢献できたかなという感じです。一昨年に右肘を手術して、開幕に間に合わない可能性もありましたが、春季キャンプ途中から一軍に合流し、実戦で投げていくうちに、非常に良い形で投げれている手応えを感じていました。状態が良いまま開幕戦を迎え、白星が続いたのですが、その良い流れの時に離脱(4月中旬に登録抹消)してしまったのが悔やまれます」
─5月18日の巨人戦で一軍に戻ってくるも、そこから7月12日の中日戦まで白星がつかない試合が続きました。
「そうですね。さぁここからというタイミングで離脱して迷惑をかけてしまい、チームが苦しい時に先発として結果を出せない登板が続いてしまったのがとにかく悔しかったですね。その歯がゆい思いが大きいだけに、成績には納得していないですし、〝まだまだやれたはずだ〟という気持ちのほうが強いです」
─ただ、復帰以降は同期入団で同学年の九里投手と共に先発ローテを引っ張ってこられました。九里投手から受ける影響も大きいのではないですか?
「そうですね。性格は僕とは全然違いますけどね(笑)。大きいですよ、ほんとに」
─九里投手も2021年12月号の取材で、『大瀬良がいたから今の自分がある』と言われていました。
「ガツガツした闘争心、バチバチした対抗心を見せてくれるので、そういう姿はやっぱり刺激になりますし、昨季は最多勝のタイトルを取り、2年連続で規定投球回も達成しました。『ケガをしない』ことは九里の一番の強みだと思いますし、それがどれだけ難しいか分かるだけに、やっぱりすごいと思いますね」
─お互いの話を聞いて、改めて良い関係、良いライバルなのだなと感じました。
「見習うこともたくさんありますしね。そして、やっぱり選手として、同じ先発投手として負けたくありません。そうですね……。うん、良い関係だと思います」
─今季も2人が中心となって先発ローテを引っ張っていくことを期待しています。
「そういう風に、お互いが切磋琢磨してチームを支えていけたらいいなと思います」
─今季こそは優勝争いに絡み、4年ぶりのリーグ優勝をカープファンに届けてもらいたいです。選手会長として迎えるシーズンに向けて、意気込みをお願いします。
「投手陣の柱として先頭に立って戦っていきたいですし、一人の投手として良い成績も残したい。そういった思いもありますが、今年は選手会長を任せてもらっているので、自分の成績だけではなく、チームが良くなるように動いていくことも大事だと思っています。そのためにもまずは、チーム全体でしっかりとコミュニケーションをとれるようにしていきたいですね」
─昨季、投手キャプテンを務められましたし、これまでも投手と野手に限らず、選手間のコミュニケーションは意識されていたと思います。まだまだ足りていないという印象ですか?
「もちろん意識はありましたが、これまで通りのコミュニケーションだと、今までと変わらないと思っています。もっとチームの一体感が生まれるように、選手間だけではなく、首脳陣ともこれまで以上に意思疎通を図っていく必要があると感じています。〝どんな意図がある野球をやっていくのか〟を含めて、選手と首脳陣が同じ方向を向いてペナントレースを戦っていくことが大事だと思いますし、そこも含めて一体感が生まれると優勝にも近づいていくと思っています」
─佐々岡監督が就任当初に掲げられた『一体感』を高めるためにはコミュニケーションの成熟が必要というわけですね。
「それが全てではないと思いますが、いろいろな人と連携をとってやっていけるようにしたいですね。選手会長としては、そういった部分を意識していくつもりです。しっかりと先頭に立って、Aクラス、そして、その先にある優勝に向けてチーム全員で戦っていきたいと思います。また、カープファンの皆さんの熱い声援はグラウンドで戦う僕たち選手にプラスαの力をもたらしてくれます。今年も一緒に戦ってもらえるとうれしいです。広島の街に3連覇した頃の熱気をもたらすことができるように頑張ります」
◆大瀬良大地(おおせら だいち)
1991年6月17日(30歳)/187cm・90kg/右投右打・投手/長崎県出身/長崎日大高-九州共立大-広島(2013年ドラフト1位)